マチコの独り言(´-`).。oO

会社員しています。将来はサブカル系のライター、作家を目指しています。

大阪駅前ビルが大好きなので、その想いを。

令和になった現在でも、昭和の香りが色濃く残る大阪駅前ビル。

半世紀前からずっと営業している喫茶店だってある。 レトロという言葉では簡単に済まされない存在感を放ち、ビル内を歩いているだけでもこれまで訪れた人々から放たれた人間臭さ、哀愁、欲望など様々な感情が伝わってくるような感覚すら覚える。

知人に連れられ大阪駅前ビルを初めて訪れた時、 良い感じに力の抜けている雰囲気が好きだと素直に思った。 場末のスナックが街やシャッター通りの商店街を歩いたことはあるが、その時感じた物寂しさとは違う。

居酒屋、バー、パチンコ屋、古本屋、アダルトショップ、宝くじ売り場、整骨院など。 「ガラパコス化した娯楽空間」というのがしっくりくるかもしれない。 誰に遠慮するでもなく、煩悩に従って娯楽にふけることができるスポットが目白押しだ。

金券ショップだって、至る所にたくさんある。 金券ショップには少しでも交通費や買い物で得をしようと、回数券・株主優待券やクーポン券を探して、ショーウィンドウを真剣な眼差しで見つめる人が集まっている。 週に1回程度、私もその集団の1人になる。 ちなみに、某金券ショップのショーウィンドウには往年のグラビアイドルや女優のヌードテレカが平然と並べられている。 これはこれで時代を感じるものが多く興味深い。

居酒屋だって、どこに行こうか悩んでしまうほどのたくさんのお店が並ぶ。 平日のお昼から通常営業しているお店もたくさんあり、いつでも現実逃避してせんべろで良い気持ちになれる。

昼の休憩時間を過ごすサラリーマンやOLが飲食店でランチを食べている。 昼どきを外れてもランチ営業に時間制限がないお店もあり、時間に駆り立てられることなく、時間にルーズであることが許される。

昼間からゲーセンやパチンコで時間をつぶす大人達もいる。ゲーセンの機器が一世代前のものっぽい。 子供のころにゲーセンで見かけた機器が平然と置かれていて、ノスタルジーを感じるよりも今も平然と使われていることに対する驚きが勝つ。

近くには消費者金融の広告をちらほら見かけ、パチンコ屋の近くにはひっそりと景品交換所もある。

こんなカオスな空間には、「酒、金、女」という人間を堕落の道へ貶める誘惑が絶えない。 大阪駅前ビルの地下空間はガラが悪くて近寄らざるべき場所という人もいるかもしれないが、ビルの上にはたくさんのオフィスが入っているというのも事実。

ビルの上で働くサラリーマンやOLが仕事帰りに、ふらっと疲れを癒しに行ける場所がたくさんある点で、大阪駅前ビル内で働く人を本当に羨ましく思う。 転職する際に、大阪駅前ビル内で働ける仕事がないか本気で探したことがあったぐらいだ。

入り浸りすぎると危険な道に入り込んでしまうこともあるかもしれないが、安全な程度で楽しみ、日頃のストレスを置いて帰る場所としては魅力的な場所として映るであろう。

近年大阪駅周辺は再開発が進み、街は綺麗で新しい商業施設ができている。 綺麗な街並みを歩いてて、長年の夢が叶ったようにワクワクした気分になったり、都会の中心にいる自分に優越感を感じたこともあったが、何度も来るといつも人が多くて騒がしくどうにも気が休まらない。 行くだけで体も心もどっと疲れてしまっている。

近年の再開発は私にとっては大きな脅威である。 気を張らずにいられる私のお気に入りの空間が少なくなってきている。


平日の昼間から大阪駅前ビルの地下空間を歩く人たちはどんな仕事をしている人たちなのか。 一見してサラリーマンやOLっぽい人はともかく、それ以外の人たちについて素朴な疑問がいつも浮かぶが、この疑問はいまだに解決できていない…。

ある平日の昼間には、ロリータっぽい格好をした女の子が、ゲーセンのUFOキャッチャーに夢中になっていた。

目を凝らして歩いていると占いの店も何軒か見かける。

普段は周囲には隠している欲望やストレスを携えて、この地下空間でひとときの楽しい時間を過ごしているようにも感じる。 暇つぶしで訪れる人にも優しい空間だ。 楽しそうに見える人もいるが、心の中で何か闇を抱えてそうな人が多い。 そんな人たちが愛しい。 自分もそんな人たちの1人だから。 みんな言葉に出さないだけで、街の景色に人々の心模様が投影されているように思う。

つらさ、さびしさ、孤独は誰もが人知れず抱えている。 闇の部分を無理やり隠したり、無理に楽しさを全面に押し出すよりも、うっすらと闇を出せる空間のほうが自分らしさを出せて居心地よく感じるのか。